Q.会社から「労災申請をしないでほしい」と言われた場合どうしたらいいですか?
結論:会社の提案は、違法です。
労災隠しは犯罪ですから、必ず労災申請をすべきです。
労災申請をしないことは、あなたにとって重大な不利益を招くおそれがあります。
私どもが実際に対応したケースの中でも、重症のケースであったにもかかわらず労災保険を申請せず、会社が給与を払い続けていたというケースがありました。
被災者やご家族からすれば、働いていないのに給与を払ってくれているのだから、むしろ会社に感謝するような状態も見られました。
しかしながら、ある程度の時間が経過した後、会社から、契約を正社員からパートに切り替えてほしいと言われたり、その後、補償の話が特に出てこないため、不信に思った被災者やその家族が弁護士に相談し、「労災隠し」が発覚したというケースがありました。
このような場合、証拠がなくなってしまったり、後から労災認定をするのに苦労するケースもあります。
そのため、絶対に、労災保険の申請はすべきです。
会社が応じない場合のみならず、「労災申請をしないでほしい」という提案が会社からあったのでしたら、迷わず、弁護士に相談しましょう。
そもそも、労働災害が発生した場合には、労働安全衛生法という法律上、事業主(会社)は労働基準監督署に報告をする必要があります。
それを怠った場合、刑事責任を科されることがあり、労災隠しは「犯罪行為」です。
労災隠しは、労働者の立場を不安定にし、将来の不安を助長する決して許されないものです。
しかしながら、現実には、ご質問のように労災保険の申請をするな、などと事業主から不当な要求をされることがあります。その背景には、以前にも労災事故があり、労基署から注意や是正勧告を受けていたのに、対応が不十分であったため、事業に影響が及ばないよう、何としても隠したいという後ろめたい気持ちがあることがあります。つまり、被災者のためではなく、会社は自身の利益を優先しているということです。
では、労災から何年も経ってしまったので諦めるしかないのか?
といいますと、このような場合でも、労災保険の申請は労働者が直接行うことができますので、時効の問題がなければ、事業主に口止めをされたとしても、申請は行うべきです。
なお、時効については、こちらです。
- 療養(補償)給付
→療養の費用を支出した日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年 - 休業(補償)給付
→賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年 - 遺族(補償)年金
→被災労働者が亡くなった日の翌日から5年 - 遺族(補償)一時金
→被災労働者が亡くなった日の翌日から5年 - 葬祭料(葬祭給付)
→被災労働者が亡くなった日の翌日から2年 - 未支給の保険給付・特別支給金
→それぞれの保険給付と同じ - 傷病(補償)年金
→監督署長の職権により移行されるため請求時効はない。 - 障害(補償)給付
→傷病が治癒した日の翌日から5年 - 介護(補償)給付
→介護を受けた月の翌月の1日から2年 - 二次健康診断等給付金
→一次健康診断の受診日から3ヶ月以内
事業主の協力が得られなくても、申請は可能です。
ご自身の立場を守る上でも、労働災害に遭ってしまった場合には、労災保険の申請を行いましょう。
大切な自らの身は自ら守らなければなりません。
弁護士は、あなたが泣き寝入りしないために、法的な助力を惜しみません。
労災事故に遭われて、お悩みの方はぜひ一度、ご相談なさってみてください。
ご相談は、電話でもメールでもLINEでも可能で、いずれも無料です。ご相談はこちらです。
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