労働災害とは、労働者が労務に従事したことによってケガや病気を負ったり、死亡したりする事故や健康被害のことを指します。労働災害は、労働者が労務に従事するうえで発生する様々なことによって引き起こされます。
労働災害の原因は多岐にわたります。労働災害というと、工場での作業中にケガをするなどのことがイメージしやすいですが、職場での過重負荷による疾患や、心理的負荷による精神障害が労働災害と判断されることもあります。
労働災害の結果として、労働者は怪我をしたり、職業病にかかったり、最悪の場合は死亡することがあります。これにより、労働者やその家族に深刻な身体的・精神的な苦痛が生じ、社会的・経済的な影響も及ぶ場合があります。
労働災害は、業務中の災害である「業務災害」と通勤中の災害である「通勤災害」に分かれます。
業務災害
業務災害とは、業務から生じた災害、すなわち労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下において労働を提供する過程で、業務に起因して発生した災害をいいます。
業務災害であると認められるためには、①「業務遂行性」と②「業務起因性」の要件を満たす必要があります。
①業務遂行性
業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態をいいます。
そのため、所定時間中や残業中などの労働者が業務に従事している最中はもちろん、業務に従事していなくても、休憩時間中など、事業主が指揮監督を行いうる余地があって、その限りで事業主の支配下にある場合には、原則として業務遂行性があると判断されます。
② 業務起因性
業務起因性とは、「業務が原因」となってケガを負ったこと、すなわち、業務と負傷や疾病などとの間の因果関係があるかどうかをいいます。
通勤災害
通勤災害とは、労働者の通勤によって発生した傷病等をいい、「通勤」のときに負ったケガや病気に対して認定される労働災害です。
通勤災害として認められる移動経路には、以下の3つがあります。
- 住居と就業場所との往復
- 就業場所から他の就業場所への移動
- 単身赴任先住居と帰省先住居との間の移動
そして、これらの移動は合理的な経路および方法により行う必要があります。
そのため、移動経路からの「逸脱」や「中断」があった場合には、原則として「通勤」とは認められませんから、通勤中に娯楽のためにどこかへ立ち寄った場合などの道筋は、通勤災害の対象になりません。
もっとも、この逸脱・中断が、日常生活を行ううえで必要な行為をやむを得ない事由のために最小限度で行うものである場合には、これらの逸脱・中断後の移動は「通勤」にあたるとされています。これらの例としては、日用品の購入・選挙へいくこと・通院・介護などが挙げられます。
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