
1 指を切断する事故が起こる例

2 事故発生から労災補償給付を受けるまで

⑴ 労災保険への申請
企業には、労災保険の加入が義務付けられています。 これは、労働者が仕事中(通勤途中も含みます。)に怪我をしたり、病気になったときに、必要な補償を受けられるようにするためです。 したがって、労働中に指を切断する事故が起きた場合には、労災保険給付を申請することになります。⑵ 労災が認定される要件
労災が認められるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」という2つの要件を満たさなければなりません。ア 業務遂行性
業務遂行性とは、労働者が事業主の支配ないし管理下にある中で起きた事故である、ということです。 この業務遂行性がなければ、次の業務起因性は存在しないということになりますので、最初のハードルということになります。 もっとも、例えば工場での作業中の事故ということであれば、業務遂行性は認められることが多いのではないかと思います。イ 業務起因性
業務起因性とは、業務に伴う危険が現実化したこと、つまり、業務と結果(怪我や病気)の間に因果関係があることを言います。 業務に従事している間の事故であれば、一般的には業務起因性は認められやすいと思われます。 もっとも、本人の私的行為、業務から逸脱した行為、規律に違反する行為等は、業務起因性を否定する事情になりえます。⑶ 労災が発生した場合の給付請求の方法
給付の種類に応じて、労働基準監督署等へ給付申請を行うことになります。 ①療養(補償)給付 労災病院や労災指定病院等を受診・治療する場合には、当該病院に「療養(補償)給付たる療養の給付請求書」を提出します。 それ以外の医療機関を利用して受診・治療した場合には、費用を立て替えた上で、労働基準監督署に「療養(補償)給付たる療養の費用請求書」を提出します。 ②休業(補償)給付 労働基準監督署に「休業(補償)給付支給請求書」を提出します。 ③障害(補償)給付 労働基準監督署に「障害(補償)給付支給請求書」を提出します。 ④傷病(補償)年金 労働基準監督署が職権で行うため請求は必要ありません。 ⑤遺族(補償) 年金年金受給者である配偶者その他の遺族が、労働基準監督署に「遺族(補償)年金支給請求書」を提出します。 不明な点があれば、労働基準監督署に相談しながら準備していくとよいでしょう。3 後遺障害の等級

⑴ 第3級
両手の手指の全部を失ったもの⑵ 第4級
両手の手指の全部の用を廃したもの⑶ 第6級
片手の5本の手指、又は、親指を含む4本の指を失ったもの⑷ 第7級
片手の親指を含む指3本、又は、親指以外の指4本を失ったもの 片手の5本の手指、又は、親指を含む指4本の用を廃したもの⑸ 第8級
片手の親指を含む指2本、又は、親指以外の指3本を失ったもの 片手の親指を含む指3本、又は、親指以外の指4本の用を廃したもの⑹ 第9級
片手の親指、または、親指以外の指2本を失ったもの 片手の親指を含む指2本、又は、親指以外の指3本の用を廃したもの⑺ 第10級
片手の親指、又は、親指以外の指2本の用を廃したもの⑻ 第11級
片手の人差し指、中指、又は、薬指を失ったもの⑼ 第12級
片手の小指を失ったもの 片手の人差し指、中指、又は、薬指の用を廃したもの⑽ 第13級
片手の小指の用を廃したもの 片手の親指の指骨の一部を失ったもの⑾ 第14級
片手の親指以外の指の指骨の一部を失ったもの 片手の親指以外の指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの ※「失ったもの」とは、親指は指節間関節、その他の手指は近位指節間関節以上を失ったものをいいます。 ※「用を廃した」とは、手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節間関節もしくは近位指節間関節(親指にあっては、指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいいます。4 会社に対する損害賠償請求

5 労働中に指を切断する事故が起きてしまった際は、ぜひ弁護士へ相談を

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