紛争の内容
依頼者の方は、建設現場での運搬作業中、足場を踏み外し、骨折していまいました。
その後、懸命に治療したものの、残念ながら後遺障害が残ってしまいました。
労災においても、後遺障害が認定されました。
しかしながら、会社側は、安全配慮義務違反は認められない等の理由により、慰謝料や逸失利益等の支払いを一切拒絶していました。
交渉・調停・訴訟等の経過
当事務所にてご依頼を受けた後、まずは本件事故の損害額を算定し、会社側に対して請求しました。
しかしながら、会社側は、代理人弁護士を通じ、安全配慮義務違反は認められないという従前の主張を繰り返し、やはり支払いを拒絶してきました。
そこで、会社を被告として、本件事故による損害賠償を請求する訴訟を提起しました。
本件での最大のネックは、労災事故の映像等が無いのみならず、目撃者すらいない状況だったため、事故態様の立証が困難であった点でした。
訴訟においても、会社側は、安全配慮義務違反の有無はもちろんのこと、事故の態様すら争ってきました。
こちらは、本件事故現場の状況や負傷状況等から、立証を積み重ねていきました。
また、訴訟の終盤には、依頼者ご本人の証人尋問もおこなわれ、事故当時の状況について詳細に証言してもらいました。
本事例の結末
証人尋問後、裁判官の主導の下で和解の話し合いが試みられました。
こちらの請求がすべて認められたわけではないですが、会社側が依頼者に対して約250万円を支払うということで合意に達したため、本件は和解により終結しました。
本事例に学ぶこと
本件は、事故状況の映像も目撃者も存在しないという事案でした。
労災の損害賠償請求においては、原則として請求する側に立証責任があります。
そのため、本件のようなケースは立証が非常に難しいといえますが、証拠を集め、可能な限りの主張立証を尽くしました。
結果、一切の金銭の支払いを拒否していた会社側から、賠償金を獲得することができました。
弁護士 時田 剛志
弁護士 赤木 誠治
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